ライフスタイルから考えるリフォーム、なぜリフォームで失敗するのか

ライフスタイルから考えるリフォーム、なぜリフォームで失敗するのか

はじめに

昔から新築で失敗した体験をブログや雑誌の記事などで見かけますが、最近はリフォームも増えてきたことでリフォーム失敗談も情報で目にする事が増えてきました。新築とリフォームで共通することもありますが、規模の小ささから多少違うところに原因がある場合もリフォームではあります。そこで、リフォームをするときに気をつけたいことを俯瞰的ですが書いてみたいと思います。

 

なぜリフォームするのかを考える

リフォームをしたい!という動機には大きく2種類あります。
それは、「給湯器が壊れた!」「雨漏りが・・・」といった緊急性の高い事件が起きたときと、「子供が大きくなってきたし・・・」「もう少し居心地良くしたいなぁ」という近い将来からもう少し長い目で暮らしを考えたときになります。このような時は後述のライフスタイルをイメージしていく事が大切です。

 

どこに相談するのか

前者のようなケースの多くは、設備の更新や建物の劣化等による損傷などがトリガーとなります。その対処の際に、「ついでだから他もやっとこう」みたいなこともあります。
ここで注意が必要なのは、緊急性が高いがゆえに業者選びや見積額の検討がおろそかになりがちですので、できれば日頃から情報を集めておいて依頼する業者など目星をつけておいたり、新築時からのお付き合いのある施工会社に頼むようにするなど、保守メンテナンスについての準備をしておくと良いでしょう。

日頃から準備すると良いとはわかっていても、なかなかできないところでもあるかと思います。そんな時は、知人や近所での情報を聞いて大丈夫そうか確認したりするか、それなりに知名度があって評判の良いところに頼むといった選択になります。

また、周辺に建築士など建築の専門家がいれば相談してみるという方法もあります。とりわけ建築設計事務所系の場合、日頃から情報を収集しているだけでなく、そもそも計画立案をしているので、短期的な原因と対処方法だけでなく中長期的な保守・メンテナンスを検討する事ができるところが多くあります。

次に、後者のようなケースの多くは家族構成等ライフステージの変化などや、仕上げ材などの経年変化、外壁や屋根等建物の劣化、耐震改修の必要性、大規模修繕時期など対象範囲が大きくなりそうな事柄がトリガーとなります。時には、人に貸したり(サブリース)シェハウスやゲストハウスとして運用し収益をあげたいというケースも最近では出てきています。

この場合は、それなりにリフォーム設計ができないといけませんので設計もできる施工業者やリフォームも扱っている住宅メーカー、そして建築設計事務所などに相談することになります。

注意が必要なのは、そもそもリフォームにおいてどうしたいかの意図を理解できる会社もしくは担当者であるか、自分のイメージしているライフスタイルをヒアリングできるのかという点と、実際の計画・設計や施工におけるリフォーム対応がどの程度できるかという点になります。

施工会社の場合、リフォームスキルがどの程度あるのかが気になるところです。同じ分野の施工会社といっても、もともと設備業者や基礎工事業者から拡張してきた会社は設備ないし基礎には強くても大工はアウトソースであったりします。逆に一人親方(通常一人大工でやってる方)から総合建設会社を立ち上げた場合もあります。

住宅メーカーの場合、各営業担当や設計者のリフォームに対するスキル差が大きい側面があります。それは、社内で新築専門であったり部署異動などによる経験値の差がどうしても出てしまうからです。新築とリフォームでは、設計の考え方や対処の仕方がかなり異なるので対応力にムラが出がちです。

建築設計事務所の場合、その事務所が商業系の設計メインであったり調査・鑑定系であるとある意味タイプ違いということになります。また、作図や建築関係の申請がメインの事務所もありますので、新築・リフォーム設計を対象としている事務所なのか確認した方が良いでしょう。

 

ライフスタイルをイメージする

リフォームをするにあたり、間取りの変更などする時にはライフスタイルやライフステージのイメージをする事が大切です。過去記事でも色々なライフスタイルを紹介してきていますが、自分がどんな暮らしをしたいのか、そのためにどれくらいの期間で何をアクションしていけばいいのか、そしてそのプロセスも楽しむ事が理想に近づいていけるコツともいえます。

DIYからライフスタイルを実現する

 

 

予算のこと

ざっくり大きく2つに分けて考えると大枠がつかみやすいかと思います。

設備などの修理交換といった短期対処系は数万円〜数10万円程度になる事が多いです。キッチン・ユニットバス・洗面・トイレといった設備全部を一気に変えようとすると2、300万円くらいもしくはそれ以上かかることもあります。これは施工費はあまり大きな変動がない一方で、設備商品をグレードの高いものにしたりすると費用が高くなるからです。また、お風呂をユニットバスではなく建築工事で作る場合は、材料費の他に施工手間がかかるため施工費は高くなってきます。

一方、ライフスタイルから考えて間取りの変更など大きくリフォームをしたいという場合は、ざっくり300万円〜と考えると良いかと思います。これは、1、2部屋いじるイメージになる感じです。がっつりいじる場合、例えば30坪の総2階建木造の家を半分だけスケルトンリフォーム(仕上げ材や下地材を撤去して構造体が見えるところまで戻してからリフォーム)しようとすると、当然内容によりますが少なくとも1000万円前後にはなってくる感じです。

何れにしてもそれぞれ元の建物も違うし、どう変えていくのかも違いますので個別に考えていき、今の費用としてはいくらまで、5年後にはいくらでここまでといった計画の仕方ができると良いでしょう。10年経ったら体年齢も変わるわけですからそこにも気を配りたいところです。

 

最後に

自分は建築設計事務所を拠点として活動しているので、これらのリフォームについてはまずライフスタイルのカウンセリングから暮らしのイメージを掴んで計画をするようにしています。また、すぐにやることと中長期的にやることと費用バランスを考えてプロデュースするようにしています。ですので、施工業者の選定や見積内容の検討の際には中長期的な視点と対応力なども検討項目にして検証・調整しています。

住宅だけではなく建築全般に言えることですが、これまでの日本社会は「作れや建てれや」で建物のLCC(ライフサイクルコスト)やLCM(ライフサイクルマネジメント)がおろそかになっていました。右肩上がり社会だったので長期修繕費用などその時になんとでもなるとおもっていた節があります。しかし、これからは建物が使われる間の使われ方やその変化への対応、そして維持修繕改修を想像してFP(ファイナンシャルプラン)やLCM(ライフサイクルマネジメント)をきちんと考えていくべきかと思います。

 

郊外の潜在力と暮らし

郊外の潜在力と暮らし

今どこで暮らしていますか?どんな活動をしていますか?
その時々によって変化があるとはいえ、毎日の働き方や活動のうち、一定の労力は生活費の獲得に費やしているかと思います。

家賃や食費などいわゆる生活固定費は、主要な都市部で暮らす程に高くなります。

これは経済成長させるための社会システムのためにそうなっているわけですが、比例して利便性も良くなるようにできています。

実際のところ、人口増加ありきのシステムでしたので、人口減少期に入った今、これからどう変わっていくか注目していくことになりますが、10年20年というスパンの変化になるかと思います。

次に郊外や地方の場合を見てみましょう。

都市部から離れるほどに経済の社会システムもローカルなものになります。
そして、家賃相場など想像するとわかりやすいかと思いますが生活固定費も安くなってきます。
また、食材もご近所の農家からおすそ分けいただいたり、庭が広いので自家菜園できたりということもあります。

これまでの近代日本では、このように都市部に行くほど平均所得が高いという状況でした。
なので地域経済が縮小していく地方から都市部に行こうとなっている事も多かったのかと思います。

ところが、いざ都市部に来て働きだすとはたらけどはたらけどなかなか余裕ができないという状況が起き、徐々に疲弊していく場面も出てきました。

前述のように生活固定費を稼がないと食べていけないからですね。
業種などによりますが、賃金(時給単価)がある程度のラインを超えないと、毎日の多くの時間を労務に費やしてしまいます。

逆に郊外や地方では生活固定費が安いとはいえ、職場が少なかったり給料が低かったりしていることが全体としては多いのではないでしょうか。

ヨーロッパでは人口が少なくても地方の方が豊かなところがたくさんあります。
これは人口が少なくても、一人当たりの生産力があり稼ぎだからです。

なぜ、それができたのかといえば、例えばぶどう園がワインなどのブランディングをしっかり作り上げ、価値を高めることを続けているからです。

日本でもちゃんとできているところはもちろんありますが、自分事として取り組まず地域の和を乱さないとか行政任せで今に至るところの多くは、その場所ならではのモノやコトに価値を作ることができず衰退しています。

ここまで触れてきたことから少し整理をすると、時給単価が上がり平均所得が良くなれば生活費を稼ぐ以外の時間が生まれ、暮らしが良くなっていくということになります。
また、その地域の居心地が良いという理由には人が多くないというのもあったりします。

ということは、郊外や地方で時給単価が高く平均所得を上げることのできる働き方ができれば、自然豊かで人混みに疲れない豊かな暮らしができることになります。

なんて都合の良いことでしょう(笑

ところが最近ではこの都合の良い暮らしを実現している人が増えてきています。
郊外暮らしが難しいというのは、仕事がなくて所得が足りない点が最大の理由かと思います。

つまり、これを突破してる人が登場しているということです。

初めにこの動きが目につき始めたのは、僕の知る範囲ではありますが創作活動系の作家さんでした。もう10年以上前ですが、雑誌を見ていて目につきました。片岡鶴太郎さんや細川元総理など有名な方の話題もあったかと思います。

作家や芸術家の場合、職場がそもそも職住近接できるし、環境からインスピレーションも受けるし、販売は画廊や作品展など違う場所で良いのでなるほどと思いました。昔から地方を拠点にしている人がいるジャンルといえます。

チルチンびとや湘南スタイルなどの雑誌でスローライフや自分らしい暮らしが話題になると、海辺の暮らしがしたいなどライフサイクルにあう地域に移住して、そのジャンルで仕事にする人をみるようになりました。

ボード置き場レンタルやグッズ販売などサーフィン関連のショップや、マリンスポーツをしている人が集まるような飲食店など。

これらの場合は、上手く続いている方もいれば、不慣れな商売で続かないというケースもある様子でした。要は地方で起業したケースであり、ビジネススキルに個人差が出ていたのかと思います。

その場所のコンテンツにフックをかけて、事業化がしっかりできれば、そこに定住していくこともできるわけですが、難易度の高いケースもあり誰でもできるとはならないかと思います。

前述の作家系においても、創作物(=商品)のブランディングができているかとその商品となるコンテンツの販売スキームができているかで収入は変わるわけですが、場所への依存性は移住してその場所にあるコンテンツ(サーフィン需要など)により起業するケースより低いといえます。

そのような流れを見ているうちに、WEB系の雑誌で地方で暮らす特集記事が出てきました。今から10年少々前というところだったかと思います。

WEBサイト制作などの仕事の場合、必ず必要になるのはインターネット接続環境です。これは都市部から整備されていますから、当然都市部でオフィスなど構えるWEBクリエイターが多くいました。

公共wifiやスマホの普及、そして高速回線化と共に、徐々にインターネット接続できるエリアが広範囲になり、現在では山中でも携帯のアンテナが立っていたりします。

僕は岩魚や山女を釣る源流釣りで山深く入るのですが、尾根に上がると携帯が繋がることがあり慌てて電源を落とすことがあります。
せっかく俗世から離れているので^ ^;

少し話がそれましたが、つまりは地方でもインターネット接続環境が整ってきたので、WEBクリエーターの地方暮らしができるようになってきたことが雑誌の特集につながったわけです。
実際のところ、ネットバンクで入出金管理もできますし、メールだけでなくスカイプやzoomで取引先とのやりとりもできます。

いわゆるテレワークは今や普通に行うことができますから、場所に依存しないWEB関係の仕事は地方暮らしのしやすい業種といえます。
生活固定費も抑えられ、自然環境は豊かで新鮮な採れたて野菜をご近所からいただければ申し分ないとなります。

営業についても基本はWEBでできるようであれば、必要に応じて都市部に出向く程度で済ますことができるので、WEBクリエーターだけでなく色々な仕事が考えられます。

このように郊外のポテンシャルを活かして食住×職近接の暮らし方がいろいろと考えられるようになってきました。
一度いろいろと想像(妄想)してみて、良いなというライフスタイルがイメージできたら具体的に検討してみてはいかがでしょうか。

ライフステージで移り住む

ライフステージで移り住む

僕はこれまでに数えてみたら9回ほど引越しをしていました。

事務所も含めると12回になります。
その割にはいまだに引っ越しが下手くそ(断捨離しきれず…)ですが。

初めての引っ越しは小学生の時。平家で居間、ダイニングキッチン、和室2室に納戸の家から数百メートル引っ越しで新築の2階建に移り住みました。

子供が3人になり学校は変えたくないなど、いくつかの動機から近場に移り住んだのかとおもいます。
そういう点からすれば家族が増えてライフステージが変わっての転居というスタンダードなタイミングとなります。2回目は大学に行くことになった時です。

初めはキャンパスまで通学していましたが、片道3時間強往復7時間前後で、交通費も考えるとさすがにつらく、キャンパスから3、40分ほどのワンルームのアパートで1年間暮らしました。典型的な学生一人暮らしのライフステージです。料理をほとんど知らなかったので、なかなか大変でした。

大学2年からはキャンパスが変わって近くなったので実家に戻り通学していましたが、かなりの頻度で下北沢や北千住の一人暮らしの友達の家で模型を作ったりエスキスしたりしていましたので、ここで共同生活を知った感じです。

最近のシェアハウスなどを見ると、これもライフステージのひとつかと思います。

そして、社会人となりしばらくは会社の寮暮らし(ある意味強制)ののち、期間満了(30歳までで追い出されるシステム)で職場にほど近い所で一人暮らし。

その後は結婚を機に引っ越しの後、途中、家賃高いし広すぎなどで引っ越し会社を辞めてのち建築設計事務所を立ち上げ、事務所移転を機に引っ越しといった具合です。

それぞれのライフステージや引っ越しの理由などを整理すると次のような感じになります。

改めて自分の引越し遍歴をみていると、人生の中でライフステージが変化するタイミングとそのステージに対応するために、引越しという手段はある程度リンクしてくる部分はあるんだなと感じます。
一方で、居場所を変えることなくある程度対応できたり、介護などの理由により居場所を変えることができないこともあります。

その場合には職場を変えたり、家をリフォームしたり、家族を近くに呼び寄せたりといったアクションをしていることも多いでしょう。
このようにライフサイクルの中で、状況が変化していくタイミングがあり、それぞれのステージで暮らしの質は違ってきます。

ライフステージにおける交際関係や職場や家族、そしてそれらのグランドとなる住まいやまちをちょっと気にしながら緩やかに、時に思い切って居場所を変えるなどによりマッチングしてあげることで、今までより居心地の良い暮らしができるでしょう。

シアターのある暮らし

シアターのある暮らし

みなさまの家にはどんなTVがありますか?

最近では50インチを超える大画面のTVも、液晶大画面1ch1万円の頃からすると価格がずいぶん手頃になってきているかと思います。

TVのチャンネルも地上波デジタルや衛星放送系のほか、CATVやインターネット放送も楽しめるようになりました。大画面でみれることで、僕の場合はサッカーが好きなのでW杯代表戦などの迫力あるライブがたまらないというところです。

そして、映画好きにはありがたいことに大画面が身近になっただけでなく、5.1chなどの音響機器も手頃になり、更にはBlu-rayのおかげで高画質の映像が楽しめるようになりました。

昔はレンズが3つついたプロジェクター(1台で100万円!)でスクリーンに投映し、音響は別にサラウンドのオーディオを用意したり大掛かりなことになっていました。

映像メディアはビデオテープでVHS vs ベータ論争があったことが懐かしい方もいらっしゃるのではないでしょうか。

現在は機器類もコンパクトになり、また5.1chのホームシアターセットなども登場し、居間などがシアタールーム化していることも増えています。
配線やスピーカーを新築の時に、隠蔽配線やスピーカー用補強を天井や壁にしておくなどして部屋をスッキリさせておくこともあります。

最近の住宅では高気密高断熱化が普及してきている事で、外壁や屋根など隙間が少なく断熱材が多くなり、結果的に遮音性能が上がっています。

前述の昔のオーディオルームの話の頃は建物の気密性や断熱性が低かったため、外部への音漏れを気にしなければならず、Sonyやゼンハウザーなどの高品質なヘッドホンを使ったりし、専用の簡易防音を施したオーディオルームを作ることもありました。音は、空気や物質を振動させている現象です。

大音量で聴きたいという時に注意が必要なのは、高い音はカーペットや厚手のカーテンなどである程度吸音(振動を減衰)吸収してくれますが、低音は低いほど振動の振幅が緩く大きい波なので重たいもの(質量のあるもの)でないと阻止できません。また、隙間があると音の振動はそこから漏れ伝わります。
ですので、新築の場合はどの程度のレベルにするかを予算の兼ね合いもにらめっこしながら計画していくことになります。

一方でリフォームなどで対応していきたい場合は、元の建物の状態からできることの限度があるので、対応度は新築有利というところでしょう。まあ、本格的にやるのでなければ普通の新築やリフォームにちょっと手を加えれば概ね良いかと思いますが、本気でオーディオルームとするのであれば、簡易防音室以上のことを考えていくことになります。

このようにシアターのある暮らしは、その求めるレベルでコストや技術的対応が変わりますので、どれくらいの程度にするか建築士等の専門家と相談しながらイメージすると良いでしょう。

ちなみに、ローカルエリアで周辺に誰もいないような広い土地を安く手に入れればホームシアター程度であれば音量はほぼ問題ないでしょう(建物のビビリは出るかもですが)^ ^


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絵画のある暮らし

絵画のある暮らし

芸術の秋といいますが、上野に行くことがあったのでそのとき開催していた美術展をみてきました。

コートールド美術館展 魅惑の印象派 at 東京都美術館
マネ、ルノワール、セザンヌ、ゴーガン
巨匠たちの傑作が集結
ゴッホ展 at 上野の森美術館

いずれも18ー19世紀の印象派やポスト印象派あたりの時代の画家で人物画や風景画が多かったです。テーマとしている画家の周辺関係も展示があり、どんな影響を受けたのかなどわかりやすい説明がついていました。

最近はただ絵画を展示するだけでなく、エンターテインメントとしてしっかりプレゼンテーションされた企画が増えてきていて楽しいですね。

まだ、コレクターが収集した絵画を公開する企画展もずいぶんと増えてきました。
考えてみれば、その当時は貴族や美術愛好家などがパトロンとなって画家を育てたり、買い求めて室内に飾って楽しんだりその部屋の雰囲気をコーデしたりしていました。

現代においては、一般のひとも絵画鑑賞を楽しみ、気に入った絵画や、もしくはレプリカや印刷ポスターを買い求めて室内に飾ったり店舗に飾ったりしているかと思います。

 

絵画でのコーデは色々とありますが、レプリカなどではなく原画を飾る迫力はやはり素晴らしいものです。その空間の空気感を生み出すのにとても影響します。
ですので、絵画とのマッチングを意識して室内空間をコーデすることにもなるでしょう。

そういう意味では、絵画のある暮らしは絵画を観るだけでなく、絵画があることで生まれた空間と、その雰囲気を楽しむことのできる暮らしと言えるのではないでしょうか。

衣服を楽しむ暮らし

衣服を楽しむ暮らし

先日、独立当時から親しくさせて頂いている女性の獣医師先生から言われました。

「建築設計してるんだからちゃんとお洒落しなさいっ!」

しばしの間、とくとくとダメ出し…
不思議と嬉しい気待ちになりました。

 

そう言えばビッグネームの住宅メーカーにいた時は、スーツやシューズをいくつも買って、「今日は〇〇さんとの打ち合わせだからスーツとシャツはこの組み合わせで、ネクタイとタイピンはこれ…」という感じでコーデしてたことを思いだしました。

 

スーツはリーズナブルな普段使い用数着のほか、ニコルやTAKEO KIKUCHIなどのブランドで数着着回していました。特にデザインが好きで体型に合うこともあってBURBERRYは3ピースのスーツにネクタイ・シャツとシューズまで全身揃えたりしていました。ずいぶんと懐かしい話です。

で、今はというと…

これは女医先生にお説教されてしかるべき姿かという感じで、クローゼットをのぞいてみたらまあ古い服だらけでした。ですので、年末は衣服の断捨離もしなければならなくなりました(苦笑

このタイプのMINIにキャリアをつけていました

さてもう少しその昔の話に戻りますが、企業勤めを始めて数年した頃オールドMINIを中古で購入し、そんなスーツのいでたちに助手席に図面筒をポンと置いてお客様宅に伺ったりしたものです。マイカー使用は社内的にいけなかったんですが…(笑

初めて実行した時は嬉しかったですね。なんだかやってみたかった憧れのスタイルというか、カッコいいと思っていたので。そして、まあ、今でもそう思ってます。

 

その頃を改めて振り返ると、朝の身だしなみから始まり仕事の場所や時間も自分スタイルに身を包みたがっていたのかもしれません。

それはありたい自分になりたいとか、自分の領域(心理学分野でいうところのパーソナル空間)の意識が働いていた気がします。

暮らしに中でもこのような場面は多いかと思います。自分のスタイルに居場所を合わせて雰囲気を作りたくなるものです。

その時にまず考えるのは部屋の内装仕上げだったり、絵や小物などのアイテムであったりします。
でも、例えばオーセンティックで自然の素材や小物がある中で、自分がすごくスタイリッシュな衣服では雰囲気がずれてきてしまうことも…。
暮らしのスタイルを楽しむには、自分がそこに馴染む服をいろいろ試して着こなしていくことで幅がぐっと広がり暮らしがより豊かになるのだと思います。

DIYからライフスタイルを実現する

DIYからライフスタイルを実現する

DIYとはDo It’s Yourself の略で自身で行うという意味ですが、おもに建物や外構などを自分で手を入れていく言葉としてすっかり定着しています。

では、実際にみなさんが手掛けているよくあるDIYとしてはどのようなものがあるでしょうか?ここでいくつか取り上げてみましょう。

 

よくあるケースとしては、棚を壁に取り付ける、突っ張り棒と布で簡易的な仕切りをつける、テーブルやイスなどを塗装するなどがあります。

 

もう少し手のかかるケースでは、壁や天井に塗装をする、畳を上げて床板を張るなどがみられます。外構であれば敷地にレンガ積みのちょっとした仕切りやBBQスペースを作ったりなど。

更に気合の入ったひとは間仕切りの壁を壊して2部屋を1部屋にしてみたり、天井を開けて小屋裏をみせるようにしているケースもあります。

 

それぞれのDIYの手法や注意点などはまた別の機会にするとして、ここではDIYをすることとライフスタイルについて触れてみたいと思います。

まず、DIYをしようかなと思うのはどんな時でしょうか?

例えば、棚が1枚だけ欲しいのだけど業者に頼むほどではないとか、古い建物なので手作り感が出るのが良いからとか、お金かけたくないからなど、もしくはそもそも自分で作るのが好きだからなどの動機から、「じゃあ自分でやってみるか」という感じかと思います。

ここでポイントになるのは、DIYでできるものが、自分にとって必要性がある、あるいは欲しいものやりたい事を実現するアイテムであるというような自発的な強い動機があるということです。

ですから、家族で庭でBBQをしたいというような暮らしの行動を実現したいからこそBBQスペースを作ってみたり、家族に喜ばれて調子に乗っていろいろ調べて耐火煉瓦でピザ窯作りにチャレンジするパパが登場するわけです。

DIYを始めるひとの多くは、自身の好きなライフスタイルにアウトドアが好きとか、車を乗るだけでなくいじるのも好きといった感じで、手を動かして何かするのが好きな人が多いかと思います。

始めた当初は不慣れさや技術がないため仕上がりの精度が高くないことが多いですが、前述の通り実現したいことがかなうかどうかがまず第一であり、プラス自分が作っていく過程を楽しむことができたなら、塗装にムラがあるなどのクオリティは枝葉であり、充分目的も気持ちも満たされます。

このように自分の手で少しずつ暮らしをDIYしていくライフスタイルも素敵ですね。

都市の暮らしで得られるものとリスクヘッジ

都市の暮らしで得られるものとリスクヘッジ

都市の暮らしで得られるものとリスクヘッジ

はじめに

今年は、都市部での災害がクローズアップされています。
台風による川の氾濫や竜巻など風水害により、様々な影響が私たちの生活に現われました。
今回の台風19号では箱根の記録的な豪雨のほか、相模川や多摩川など主要な一級河川が氾濫寸前もしくは一部越水・決壊などが起きました。
また、千葉南房総では、多くの家屋の屋根が風による被害を受け、また電柱がなぎ倒され復旧に大変時間がかかる事態が起きています。

 

都市と地方

都市は基本的には自然に強い構造です。
それは地方と比較することで理解がしやすくなります。地方においては、自然の割合が大きくなるほどにあがらえない自然との共生と寛容さが必要になります。

例えば春先から夏過ぎまでの草刈りバトルや、家の中に入り込んでくる様々な生き物との折り合いに、雪国であれば冬の間の積もる雪との体力戦など。
地方のこのような暮らしと比べ、都市部はこれらの自然に対して相対的に堅牢な都市インフラが整っています。これにより、自然の厳しさと日常的には対峙せず、利便性も享受できます。

都市におけるリスクヘッジ

一人暮らしの高齢者が都市部に増えていくという現象は、前述のような「人のための保護された環境と利便性の高さ」から想像すると理解しやすくなります。

しかし、これらの都市インフラ整備も許容値を超えると今回のような都市災害につながります。

また、普段は利便性の高い交通機関やコンビニなどの店舗への商品物流が停止したり、上下水道や電気・ガスのエネルギー供給が途絶えた途端に、都市機能が停止した時にいかに命を守ることが難しいかという現実を知ります。

地方の強み

その点、地方においては自分も含め作物を育て保存していたりしているので一定期間を周辺と協力しあってしのぐ事も出来たりします。もちろん自家菜園レベルから本業の農家まで様々ですが。

エネルギーについても、地方ではプロパンガス利用であったり合併浄化槽や井戸水といった手段が多く、個別のインフラが確保されています。

共通する地勢リスク

一方で地勢リスクというものがあります。これはある意味で地方と都市共通のリスクといえます。
川の近くや崖の近くなど、その場所に潜む災害リスクがあります。今回の台風19号では、武蔵小杉駅周辺の冠水がありましたが、これも低湿地帯であったことに由来していると推測されます。

川崎市ハザードマップより引用
http://www.city.kawasaki.jp/530/cmsfiles/contents/0000018/18174/03nthm.pdf

暮らしと災害リスク

このように都市の暮らしを享受する上で、どの程度の災害リスクでラインを引くか、自分の望む暮らし(ライフスタイル)とのバランスを考えることは大切です。

例えば川沿いで暮らしたい、毎朝河川敷の遊歩道で犬の散歩をしたい、という場合に氾濫等の水害リスクを完全には回避できません。でも、マンションの上階であれば、今回のようにエレベーターが一時的に使えなくなったり、2、3日程の停電などを許容すれば(日頃から準備をしていれば)、毎朝河川敷の遊歩道で犬の散歩をする暮らしができます。

最後に

このように考えていくと、きちんとその場所の災害特性を掴んだ上で災害時の短期(時に数週間程度の中期)リスクを良しとしていれば、日常の暮らしは満たされます。どのような状況が起こりうるのかとその対策を踏まえてはじめて「備えあれば憂いなし」といえます。

どの場所においても災害リスクは消えませんし、最終的には一定の自己責任はついてきます。建物だけではなく、場所性や災害リスクなども暮らしの場では考えていく必要があるといえます。都市工学的な専門性を必要とする見極めも出てきますので、状況に応じて建築士などの専門分野のアドバイスを求めていくとよいでしょう。