はじめに
昔から新築で失敗した体験をブログや雑誌の記事などで見かけますが、最近はリフォームも増えてきたことでリフォーム失敗談も情報で目にする事が増えてきました。新築とリフォームで共通することもありますが、規模の小ささから多少違うところに原因がある場合もリフォームではあります。そこで、リフォームをするときに気をつけたいことを俯瞰的ですが書いてみたいと思います。
なぜリフォームするのかを考える
リフォームをしたい!という動機には大きく2種類あります。
それは、「給湯器が壊れた!」「雨漏りが・・・」といった緊急性の高い事件が起きたときと、「子供が大きくなってきたし・・・」「もう少し居心地良くしたいなぁ」という近い将来からもう少し長い目で暮らしを考えたときになります。このような時は後述のライフスタイルをイメージしていく事が大切です。
どこに相談するのか
前者のようなケースの多くは、設備の更新や建物の劣化等による損傷などがトリガーとなります。その対処の際に、「ついでだから他もやっとこう」みたいなこともあります。
ここで注意が必要なのは、緊急性が高いがゆえに業者選びや見積額の検討がおろそかになりがちですので、できれば日頃から情報を集めておいて依頼する業者など目星をつけておいたり、新築時からのお付き合いのある施工会社に頼むようにするなど、保守メンテナンスについての準備をしておくと良いでしょう。
日頃から準備すると良いとはわかっていても、なかなかできないところでもあるかと思います。そんな時は、知人や近所での情報を聞いて大丈夫そうか確認したりするか、それなりに知名度があって評判の良いところに頼むといった選択になります。
また、周辺に建築士など建築の専門家がいれば相談してみるという方法もあります。とりわけ建築設計事務所系の場合、日頃から情報を収集しているだけでなく、そもそも計画立案をしているので、短期的な原因と対処方法だけでなく中長期的な保守・メンテナンスを検討する事ができるところが多くあります。
次に、後者のようなケースの多くは家族構成等ライフステージの変化などや、仕上げ材などの経年変化、外壁や屋根等建物の劣化、耐震改修の必要性、大規模修繕時期など対象範囲が大きくなりそうな事柄がトリガーとなります。時には、人に貸したり(サブリース)シェハウスやゲストハウスとして運用し収益をあげたいというケースも最近では出てきています。
この場合は、それなりにリフォーム設計ができないといけませんので設計もできる施工業者やリフォームも扱っている住宅メーカー、そして建築設計事務所などに相談することになります。
注意が必要なのは、そもそもリフォームにおいてどうしたいかの意図を理解できる会社もしくは担当者であるか、自分のイメージしているライフスタイルをヒアリングできるのかという点と、実際の計画・設計や施工におけるリフォーム対応がどの程度できるかという点になります。
施工会社の場合、リフォームスキルがどの程度あるのかが気になるところです。同じ分野の施工会社といっても、もともと設備業者や基礎工事業者から拡張してきた会社は設備ないし基礎には強くても大工はアウトソースであったりします。逆に一人親方(通常一人大工でやってる方)から総合建設会社を立ち上げた場合もあります。
住宅メーカーの場合、各営業担当や設計者のリフォームに対するスキル差が大きい側面があります。それは、社内で新築専門であったり部署異動などによる経験値の差がどうしても出てしまうからです。新築とリフォームでは、設計の考え方や対処の仕方がかなり異なるので対応力にムラが出がちです。
建築設計事務所の場合、その事務所が商業系の設計メインであったり調査・鑑定系であるとある意味タイプ違いということになります。また、作図や建築関係の申請がメインの事務所もありますので、新築・リフォーム設計を対象としている事務所なのか確認した方が良いでしょう。
ライフスタイルをイメージする
リフォームをするにあたり、間取りの変更などする時にはライフスタイルやライフステージのイメージをする事が大切です。過去記事でも色々なライフスタイルを紹介してきていますが、自分がどんな暮らしをしたいのか、そのためにどれくらいの期間で何をアクションしていけばいいのか、そしてそのプロセスも楽しむ事が理想に近づいていけるコツともいえます。
予算のこと
ざっくり大きく2つに分けて考えると大枠がつかみやすいかと思います。
設備などの修理交換といった短期対処系は数万円〜数10万円程度になる事が多いです。キッチン・ユニットバス・洗面・トイレといった設備全部を一気に変えようとすると2、300万円くらいもしくはそれ以上かかることもあります。これは施工費はあまり大きな変動がない一方で、設備商品をグレードの高いものにしたりすると費用が高くなるからです。また、お風呂をユニットバスではなく建築工事で作る場合は、材料費の他に施工手間がかかるため施工費は高くなってきます。
一方、ライフスタイルから考えて間取りの変更など大きくリフォームをしたいという場合は、ざっくり300万円〜と考えると良いかと思います。これは、1、2部屋いじるイメージになる感じです。がっつりいじる場合、例えば30坪の総2階建木造の家を半分だけスケルトンリフォーム(仕上げ材や下地材を撤去して構造体が見えるところまで戻してからリフォーム)しようとすると、当然内容によりますが少なくとも1000万円前後にはなってくる感じです。
何れにしてもそれぞれ元の建物も違うし、どう変えていくのかも違いますので個別に考えていき、今の費用としてはいくらまで、5年後にはいくらでここまでといった計画の仕方ができると良いでしょう。10年経ったら体年齢も変わるわけですからそこにも気を配りたいところです。
最後に
自分は建築設計事務所を拠点として活動しているので、これらのリフォームについてはまずライフスタイルのカウンセリングから暮らしのイメージを掴んで計画をするようにしています。また、すぐにやることと中長期的にやることと費用バランスを考えてプロデュースするようにしています。ですので、施工業者の選定や見積内容の検討の際には中長期的な視点と対応力なども検討項目にして検証・調整しています。
住宅だけではなく建築全般に言えることですが、これまでの日本社会は「作れや建てれや」で建物のLCC(ライフサイクルコスト)やLCM(ライフサイクルマネジメント)がおろそかになっていました。右肩上がり社会だったので長期修繕費用などその時になんとでもなるとおもっていた節があります。しかし、これからは建物が使われる間の使われ方やその変化への対応、そして維持修繕改修を想像してFP(ファイナンシャルプラン)やLCM(ライフサイクルマネジメント)をきちんと考えていくべきかと思います。